DTMの打ち込みで生っぽさを演出する試み

DTMと打ち込みの関係

DTMをやっていると、「打ち込み」というよく言葉を耳にすると思います。

「打ち込み」は『このリズムで、この音程で音を出しなさい』といった命令を、主にピアノロールなどに打ち込んでおいて自動的に演奏させることです。

音のプログラミング」という感じです。

打ち込みを使った音楽自体を「打ち込み(音楽)」と呼ぶこともあります。

ピアノロールに打ち込んだ演奏情報をピアノの音源で再生したものがこちら

ピアノロール打ち込み #戦場のメリークリスマス #dtmer

山田なおさん(@yamadanao_com)が投稿した動画 –

※ちなみに、ピアノロールといってもピアノの音しか鳴らせないわけではありません。

 

なんとなく「DTM=打ち込み」という認識がありそうです。

もちろんイコールではないのですが、それに近いものがあります。

DTMはパソコンの中で楽曲を作ったりすることですが、必然的に『打ち込み』を使うことが多くなります。

だから、『DTMやってたらほぼ100%打ち込みしてるっしょ』という考えが「DTM=打ち込み」という表現になるのだと思います。

もちろん厳密には違うのですが。さらに言えば、「DTM=打ち込み」とだれが言っていたというわけでもありません。

 

なぜDTM=打ち込みとは言えないのでしょうか。

たとえば、打ち込みを使わずともマイク録音やライン録音した音をパソコンの中で編集する場合もDTMと呼べてしまうからです。

その場合に、打ち込みを使っていなくてもです。

そうはいっても、DTMにおいて打ち込みはよく使われる方法なので、2つはセットのようなものかもしれません。

 

打ち込みで生っぽさを演出するには

これは、よくある打ち込み楽曲での1つのテーマです。

どうすれば、生っぽさを演出できるのか

その1つに、打ち込みにフォーカスする方法があります。

ここで言う『生っぽさ』とは『生演奏っぽさ』のことだからです。

打ち込みにおいてはピアノロールにベタ打ちしたら、後は機械的に、精密にリズムと音程が発せられます。

いわゆる『ズレ』がありません。精密です。

しかし『生演奏っぽさ』の本質は何かとなれば『人間』です。

機械』になくて『人間』にあるものが『生演奏っぽさ』を生み出します。

それが『ばらつき』です。

そこから考えて、打ち込みで生っぽくする方法が色々と紹介されています。

演奏においては『ばらつき』を出せば生演奏っぽくなると。

①音の高さをずらす(ピッチ)

②音の大きさをずらす(ダイナミクス)

③音のタイミングをずらす(リズム)

この3つがよくある方法です。

ばらつき』を出すために、あえて音の要素をずらして打ち込めばいいじゃないかという方法です。

もしくは打ち込んでから『ランダマイズ』とか『ヒューマナイズ』という機能を使ってずらすという方法です。

 

理屈では『ばらつき』を出せば『生っぽさ』が出ると理解はできますが、全てにおいて推奨しているわけではありません。

それが良い方向へとつながるとも限らないときもあるからです。ベタ打ちの方が音楽的にいいと感じるかもしれません。

 

もうひとつの『生っぽさ』

今回、演出したいのはもうひとつの『生っぽさ』です。

私が『もうひとつの生っぽさ』と思うものがあります。

『ライブ感』です。

誤解のないように言いますと、『デッド』の反対です。

デッド』は音の反響がないような意味で、『ライブ』は音の反響があったり、残響などの空間が感じられる状態のことです。

前述の『生演奏っぽさ』とは異なる『LIVE(生)っぽさ』です。

絵や漫画の世界でいうと『奥行き』という感じでしょうか。立体的に見えるとか空間が感じられるとか。

音に臨場感があるとか、空気感があるという表現が近い気がします。

打ち込みの多いDTMではどうしてもこの『ライブ』感が乏しくなると感じています。

その解決策としては、リバーブやディレイ効果を利用して空間を生み出すというのが一般的ですが、今回は環境音を使って生の空間っぽさの演出を試みたいと思います。

 

環境音を録音してライブ感を演出する

お借りした画像(みわみみさん/piapro)

ライブ感というのも非常に曖昧な表現ではありますが、空気感という表現も近いと思います。

「空気感ならマイクで録音すればいいだけではないか」という安易な考えのもと、環境音を録りました。

環境音が録音されたサンプリングCDなどを使うのがお手軽ですが、自分でマイク録りしたオリジナルの環境音を使うのも面白いと思います。

愛着がわくかもしれません。

夏の終わりに窓を開けて虫たちの鳴き声を録ってみました。

この目で確認したわけではありませんが、たぶん、こおろぎです。鈴虫ではなく。

環境音としては、鈴虫より高音がまろやかな、こおろぎの鳴き声の方が好みです。

 

その他の環境音も混ざっていますが、ちょうど4kHzぐらいがこうろぎの鳴き声ということがわかりました。

鈴虫は録音したことはないですが、6kHzかそれ以上の帯域だとおもわれます。

高音側にスペクトルピークが見えますが、もしかしたら鈴虫も混ざっているのか・・・

化学化合物の同定っぽいですね。「この周波数ののシングレットピークはOHのプロトンだ」とか・・・

逆にエンジニア的な耳を持っていれば、鳴き声を聴いて、「こおろぎは4kHzぐらいなのか」となるのでしょう。

 

今度は和楽器音源の打ち込みです。

 

環境音とミックスしたものがこちら

環境音が適度にデッド感を埋めてくれていると思います。

 

打ち込みを生演奏っぽくする』ではなく『演奏環境を生ライブっぽくする』というひねくれたアプローチですが、

みなさんも窓を開けてオリジナル環境音をサンプリングしてみてはいかがでしょうか。